Sees Co., Ltd.

ハッシュチェーンは究極のデータセキュリティ技術

株式会社シーズ

シーズハッシュチェーンストーリー

シーズハッシュチェーン誕生

工場やインフラなどで用いられる制御システムでは、温度・振動・電流・映像などのさまざまなデータをリアルタイムで取得しています。 これらはセンサからネットワークを経由してローカルサーバやクラウドに集約しデータベースに記録され監視・制御・分析に利用されます。
最終的に記録される情報の安全性については、シーズブロックチェーンを利用することで暗号化及び分散技術により改ざんや漏洩に対する耐性を極めて高次元に高めることができます。

一方で、センサからシーズブロックチェーンに記録されるまでの伝送経路においては、経路全体の証跡を一貫して保証する仕組みが充分に整備されているとは言えません。
経路間の機器や伝送中にデータが書き換えられても瞬時には検出不可能で正規のセンサになりすました第三者が改ざんした計測値を送り込むことも可能です。
本来あるべき経路間のシーケンスログが欠落、あるいはノイズや静電気などの影響で伝送中にデータの一部が破損・変化しても気づかずに運用されているケースも現実的に起こり得ています。
また無線通信においては配線不要で設置の自由度が高く既存設備への後付けやライン変更にも柔軟に対応できる一方で、電波が届く範囲であれば第三者が通信を傍受・送信できてしまいます。
更には正規の端末になりすまして改ざんしたデータを送り込む攻撃リスクも存在し、繊細な制御系では採用をためらうケースも少なくありません。

さらに近年では、センサの時系列データをAIに学習させて異常検知や予知保全に活用するケースが増えています。
前述のようにシーケンスログの欠落や伝送中のデータ破損・変化が含まれていたり、悪意ある第三者が改ざんを紛れ込ませていたりすると例え高度なシステムでも誤った入力から誤った結論を導き出してしまいます。
そのような不正確あるいは意図的に操作された情報で学習させれば望ましくない結果を学習してしまいます。
さらにハッキングや障害といったインシデントが起きた際にはどの時点までのデータを安全とみなせるのか、どこから不正なデータが混入したのかを把握できなければ、原因究明や再発防止だけでなく顧客や監督官庁への説明も困難になります。

情報セキュリティの分野では、米国立標準技術研究所(NIST)のガイドラインにおいて情報を守るための基本的な性質として機密性・完全性・可用性が挙げられています。 より厳格な管理が求められる医薬品・医療機器などの分野ではアメリカ食品医薬品局(FDA)のデータインテグリティ指針や、その要件として示されるALCOA/ALCOA+において、データが完全で一貫しており必要なときに利用・説明できることが明確に求められています。

こうした標準や規制が示すとおり、「改ざんされておらず必要なときに検証し証明できるデータ」であることは分野を問わず重要な要件になっています。
産業用途のデータにおいても「データがどこから来て、どの順番で発生・送信され、途中で書き換えられていないこと」を後から検証し、必要に応じて第三者に説明・立証できることが強く求められています。

シーズハッシュチェーンはこのような要望を踏まえ、データの発生源と時系列の整合性、ならびに伝送経路上での改ざん・欠落の有無といった伝送データの完全性・真正性を通信経路上で検証可能にし、その検証結果を後から確認・説明・立証する根拠として利用できるようにする目的としてシーズブロックチェーンの核心技術をゼロから見直し新たに研究開発したシーズ独自の情報セキュリティの特許技術です。

シーズハッシュチェーンの仕組み

ブロックチェーンは、ハッシュ関数によって生成されたハッシュ値と呼ばれる値を用いてブロックを数珠つなぎにすることで一度記録したブロックの改ざんを極めて困難にする技術です。
シーズハッシュチェーンはこの「ハッシュ値でブロックを数珠つなぎにする」という考え方を記録済みのデータではなく伝送データに応用いたしました。
具体的には、センサなどの送信側からエッジ装置やサーバなどデータを受け取って処理する側に向けて連続して送られてくるデータを一定の大きさの「セグメント」に分割します。

それぞれのセグメントには、

がまとめて格納されます。
この構造によりセグメント同士がハッシュ値を介して鎖状に連なり、ひと続きのチェーンとして扱えるようになります。

図1.シーズハッシュチェーンの構造
図1.シーズハッシュチェーンの構造

送信においては先頭から順番にセグメントを生成した後に暗号化して送信します、ここで暗号化方式としては高速処理でき将来の量子計算機による攻撃も考慮しつつ現時点で最も安全性が高いと評価されているAES-256という共通鍵暗号方式を採用しています、この暗号化により伝送路における盗聴からハッシュチェーンの各セグメントが保護されます。

受信においてはセグメントの暗号を復号し内部に含まれる情報から検証を行います、まずセグメント内のデータとひとつ前のセグメントのハッシュ値を使ってあらためてハッシュ値を生成し、セグメントに書かれている「今回のセグメントのハッシュ値」と一致するかどうかを検証します、それに加えてセグメントに書かれている「ひとつ前のセグメントのハッシュ値」が実際に直前に受信したセグメントのハッシュ値と一致しているか否かも検証します。

この二つの条件が満たされている限り、先頭から当該セグメントまでの一連のデータが正しい順序で連続した改ざんされていない情報であることを計算に基づいて確認できます。
逆にどこかで書き換えや欠落などが生じると検証時にハッシュ値が一致しないため、信頼できるチェーンの範囲と異常が発生した時点を明確に切り分けることができます。

このようにシーズハッシュチェーンは伝送経路上を流れるデータのチェーンについて途中で書き換えられていないことと抜けや不整合が一切無いことをリアルタイムに検証できる技術です、さらに先頭のセグメントには送信側の固有の端末識別情報を格納することにより「このチェーンはどの端末から送信されたものか」を受信側で識別でき、インシデント発生時などに後から分析・解明するための証拠として活用することが可能となります。

尚、シーズハッシュチェーンではデータの送受信にあたってシーズハッシュチェーン専用の通信プロトコルを用いています。
ヘッダ情報を必要最小限に抑えた軽量な形式とすることでオーバーヘッドを少なくし通信全体として高いスループットを実現できる構成としています、またハッシュチェーン通信を単一チャネル上の連続した通信として扱えるようにすることで多数の端末が無線を共有する環境でも限られた無線資源を効率よく利用できるように設計しています、これらは無線ネットワークを前提とした設備や装置ではセキュリティに加えて軽量なプロトコルによる効率性が極めて大きな効果を発揮します。

図2.シーズハッシュチェーンの単一チャンネル仕様
図2.シーズハッシュチェーンの単一チャンネル仕様

送信元を検証するしくみ

ここまででシーズハッシュチェーンにより伝送データの時系列整合性と内容の完全性を検証できることを説明してきました、しかしそれだけではデータセキュリティ上不充分なケースが存在しています、それはそのデータを送ってきた相手が本当に正規の端末なのかどうかという点が判別できないことです。

無線通信のように電波の届く範囲で誰でも信号を送れる環境では正規の端末になりすまして改ざんデータを送り込んでくる攻撃を防ぐ必要があります、シーズハッシュチェーンはこの課題に対して各端末を一意に識別できる「シード情報」(以下、「シード」と記載)と呼ばれる固有値を用いることで解決しました。
シードは各送信端末に対して一意の値として割り当て、送信側と受信側の間であらかじめ安全な方法で共有します、シードそのものはセグメントの中には存在させず外部にも公開しません、唯一送信側と受信側だけが知っているその端末だけの秘密情報として機能します。

図3.シーズハッシュチェーンのシード
図3.シーズハッシュチェーンのシード

送信側がセグメントのハッシュ値を生成するときハッシュチェーンではひとつ前のセグメントのハッシュ値と今回のセグメントのデータに加えてシードもまとめて入力し、「今回のセグメントのハッシュ値」を求めます(シーズハッシュチェーンの最大の特許技術)。
受信側は共有しているシードを使って同じ計算を行い、セグメントに書かれているハッシュ値と照らし合わせます、値が一致すればそのセグメントはシードを知っている正規の端末から送られてきたものだと判断できます、一致しなければシードを知らない「なりすまし」によるデータの改ざんや欠落が発生したと判断できます。

この仕組みによってシーズハッシュチェーンは伝送データの時系列整合性・内容の完全性・送信元の真正性を一体として検証でき安全性を保証することに成功いたしました、これにより「この時刻からこの時刻までのデータがどの端末からどの順序で送られ、その過程で改ざんや欠落が生じていないか」を後から自動的かつ客観的に検証でき必要に応じて第三者に対して立証できるようになります。

シーズブロックチェーンとの連携と主な活用事例

シーズハッシュチェーンが最も有益に機能するのはセンサなどの送信元からエッジ装置やサーバなどの処理基盤に届くまでの伝送データにおいて連続性・内容の完全性・送信元の真正性を通信経路上で瞬時に検証し、その結果として「連続した正しいデータが正規の送信元から送られてきた」ことを機械的に示せるように使うことです。
一方でシーズブロックチェーンはそのように検証されたデータ(センサ値および対応するハッシュ情報など)を複数ノードに永続的に記録し、記録後の改ざん耐性と可用性を確保する役割を担います。

株式会社シーズではシーズハッシュチェーンの受信先を複数ノード構成のシーズブロックチェーンとし、同一データを複数のノードに記録する構成を推奨しています。 これによりあるノードに障害が発生しても他のノードからデータの記録や参照を継続することが可能となります。
情報セキュリティの観点では、シーズハッシュチェーンは通信経路上における伝送データの完全性および送信元真正性の検証を担い、複数ノードで構成されるシーズブロックチェーンは受信後に永続化されたデータの改ざん耐性・可用性・長期保全性を担保する役割を果たします。

図4.シーズブロックチェーンとシーズハッシュチェーンの連携=最強のセキュリティシステム
図4.シーズブロックチェーンとシーズハッシュチェーンの連携=最強のセキュリティシステム

実運用においては、センサやエッジ装置及びクラウドについても冗長構成や待機系への切り替え手段を組み合わせることでシステム全体としての可用性や信頼性を高めることができます。
シーズハッシュチェーンとシーズブロックチェーンの組み合わせは、あらゆる情報システムにおいて発生するデータの伝送から記録に至るまでの時系列整合性・内容の完全性・送信元真正性を技術的に担保する中核要素として機能します、これをひと言で言えば「そのデータがどこから来て、どう流れ、どのように記録されたか」をシーズハッシュチェーンによる検証結果をもとに後から確認し必要に応じて立証できるようにするための基盤となる技術なのです。

この枠組みはさまざまな産業用途での活用を想定できます、例えばモーターの電流・振動・温度などのセンサ値をエッジ装置やクラウドに集約しAIによる異常検知や予知保全に利用する場合に、シーズハッシュチェーンを用いることで「この期間のデータは特定の端末から時系列どおりに送られ、その過程で欠落や改ざんが生じていない」と検証・確認したうえで学習や推論を行うためのAIへ情報入力できます。

産業ロボットの動作ログや自律移動体の位置情報・センサ情報といった動作履歴が安全性に直結する分野でも同様です、どの順番でどの軌跡を辿ったのかというログについて後から「この区間は連続しており、途中で書き換えはなく、特定のロボットから送られたものだ」と示せれば遠隔監視やトラブル解析、異常時の再現調査に大きく役立ちます。

また、各工程で取得した検査結果やプロセス条件を時系列で管理する製造ラインのトレーサビリティデータにシーズハッシュチェーンを活用すれば、途中でログが欠落していたり、後から上書きされていたりするリスクを抑えつつ、「この製品のロットは、どのような条件のもとで一連の工程を通過したのか」と証拠を以て示すことができます。
発電設備や変電設備、ビルのエネルギー管理システムなど、インフラやエネルギーシステムの遠隔監視においても、制御判断の根拠となるデータが「いつ・どこから・どのような経路を辿って届いたものか」を後から検証・確認できることは運用上の安心と信頼につながります。

シーズハッシュチェーンはセンサでのデータ生成から記録に至るまでの経路と履歴について、時系列の整合性・内容の完全性・送信元の真正性を通信経路上で検証し、その検証結果を後から確認・説明し、必要に応じて第三者に立証できるようにするための仕組みです、そしてこれは産業用途におけるデータの完全性・真正性・説明可能性に関する要求に応える完全無比の核心技術といえるものです。


2025年12月

株式会社シーズ
代表取締役会長 伊東久雄

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