Sees Co., Ltd.

自律分散AIセル&ハッシュチェーンはフィジカルAI時代のコア技術
株式会社シーズ

ブロックチェーンの未来と希望

プロローグ

2009年に運用が始まったビットコインは金融機関を介さず当事者同士が安全に取引を完結させる仕組みとして世の中に大きな衝撃を与えました、その核心技術がブロックチェーンです。
2016年頃から多数の書籍が出版されブロックチェーンは将来有望なフィンテック技術として世界中の人々に知られるようになりました、しかし暗号資産やフィンテックはブロックチェーンが持つ可能性のほんの一部に過ぎません。

ブロックチェーンは安全な取引台帳技術ではなく最も評価されるべきは優れた分散技術にあるのです、この完全なる分散技術であるからこそノード間で合意形成が行われ第三者を介さずに当事者同士が安全に取引が行われるのです、いまだに多くの人はこれに気付いていません。

かつてオープンソースOSであるLinuxは長い年月をかけて産業界へ静かに深く且つ確実に浸透していきました、今では多くの人がLinuxを意識する機会はほとんどありません、しかし駅の自動改札や列車制御から自動車や家電の多くまで人々の暮らしはLinuxによって支えられています、ブロックチェーンもまたこれと同じ軌跡をたどり誰もが意識することなく使われる身近な存在になると確信しています。

世界に目を向けると既にブロックチェーンを社会インフラ基盤として活用を図る動きが加速しています、しかし日本はいまだに懐疑的に見る人が多く本格的な普及段階に至っていません、何故日本には懐疑的に見る人が多くいるのかという理由については後程述べるとして、日本は世界的核心技術潮流から大きく後れを取っているという事実だけが浮き彫りになっているのです。

産業用ブロックチェーンの黎明~シーズの挑戦

ブロックチェーンの黎明は2008年にサトシ・ナカモトが発表した論文です、そこには金融機関を介さずに当事者同士がインターネット上で直接取引を行える仕組みが示されていました。
2009年1月、この論文の示す技術を用いた世界初の暗号資産であるビットコインが誕生しました、ビットコインは誰も管理していないにも関わらず無人で稼働し続ける取引システムとして世界中の注目を集めました。

2015年には取引台帳だけでなくアプリケーションをブロックチェーン上で動かせるイーサリアムが登場しました、これにより条件が満たされると自動的に契約を実行するスマートコントラクトが実用化されブロックチェーンは取引台帳技術から全ての産業で使える分散技術へと変貌を遂げました。

株式会社シーズは日本語の書籍が出版される以前の2014年から他社に先駆けてブロックチェーンの研究を開始致しました、シーズはこの時点で既にブロックチェーンが限られた取引台帳技術ではなくあらゆる産業に使えるデータセキュリティに最適な分散処理技術であり近未来に世界中で使われるべき核心的技術であると確信していました。

シーズがブロックチェーンに見出した価値は二つあります、一つは改ざん不可能な高セキュリティ技術であること、もう一つは高度な分散処理技術です。
世の中の書籍には改ざんされない暗号技術としてのみでブロックチェーンを評価しています、もちろん改ざんできないことは極めて重要な事項です。
しかし産業分野の現場で本当に力を発揮するのは完全なる分散処理技術であるという点だと考えています。

分散処理の最大の特徴はネットワーク上の1台のサーバーが事故や障害で停止したとしても他のノード群が即座にカバーしシステム全体としては何事もなかったかのように止まることなく動き続けることにあります。
またデータそのものが複数の拠点に同一の状態で保持されているため、万が一にでもサーバーからデータが完全に消去されてしまってもシステム全体のデータが失われることは一切ありません。
そしてこの完成された分散処理を既存の複雑なシステム構成に手を加えることなくブロックチェーンを導入するだけで容易に実現できるのです。
日々稼働率や安定性を追求する産業界にとってこれ以上ない絶大なメリットを齎します。

更にこの分散処理の仕組みが大型の専用サーバー群に留まらず現場に置かれた小型の端末や機器の内部に組み込まれるチップにまで再現できるようになれば従来とは比較にならないほどの処理速度と安定性そして障害への強さを同時に手に入れることができます。
シーズが描いたのは、データ誕生の瞬間からネットワークを経由して末端の細部にまで渡り安全に伝送され記録され続ける世界です、これがブロックチェーンに見出した価値そのものです。

シーズはこの改ざんが不可能であるということと分散処理の二つの価値を軸にそれぞれの製品を生み出してきました。

分散処理の価値を突き詰めて生まれたのが2018年に誕生した「シーズブロックチェーン」です。
イーサリアムと近似した構成と分散ファイルシステムの概念をコアに独自開発したミドルウェアと専用Linuxを高度に融合させた産業向けのデータセキュリティシステムです。

複数のアプリケーションで一つのブロックチェーンを安全に共有する「マルチDAppsプラットフォーム」や必要最小限の機能に特化した「シーズブロックチェーン専用Linux」、そしてブロックチェーンをエンベデット化した「ブロックチェーンゲートウェイ」・「ブロックチェーントランスフォーマー」・「ブロックチェーンチップ」はいずれも分散処理を現場の隅々にまで広げるための製品です。

更にこの分散処理の考え方をAIに応用し小さなセルコンピュータが互いに学び合う「自律分散AIセル」へと発展させました、この「自律分散AIセル」は次代のフィジカルAI分野へのシーズの挑戦状ともいえる技術です、シーズはフィジカルAI分野に分散技術を以って勝負を挑もうとしているのです。

一方で改ざんできない価値を突き詰めて生まれたのがブロックチェーンのレイヤー3ともいえる特許技術「ハッシュチェーン」です、ブロックチェーンに記録される前の伝送路のデータまでを保証するこの技術を記録装置に応用しゼロトラストを実現したのが「スクランブルメモリ」です。

こうして二つの軸から生まれたそれぞれの技術はセンサーからクラウドまで一気通貫でデータを守る高データセキュリティ技術として一つに融合いたしました。

図1.センサーからクラウドまでのデータセキュリティ
図1.センサーからクラウドまでのデータセキュリティ

伝送データと記録データのセキュリティが欠かせない現在においてシーズはセンサーで生まれたデータがクラウドへ届き記録されるまでのすべての領域を一気通貫で守る仕組みを確立しました。
その中核となるのが三つの独自特許技術です。
一つ目はデータの出自保証をチップ単位で行う唯一無二の「PUF」です。
二つ目は伝送データのセグメント単位で正当性を保証する「ハッシュチェーン」です。
三つ目は記録データがたとえ盗まれても本人以外は見ることができない「スクランブルメモリ」です。
この三つの独自技術によってシーズのデータセキュリティシステムは情報の真正性と機密性そして完全性を保証したうえで攻撃を受けても止まることなく動き続ける強靭性を兼ね備えています。
改ざん不可能と分散処理という二つの価値がここで一つに結実いたしました。

2026年、シーズはこれらを総合的に推進する目的で事業の再編成を図りました。
「自律分散AIセル」をコアとする「フィジカルAI」事業と「ハッシュチェーン」及び「スクランブルメモリ」をコアとする「データセキュリティ」事業の二つを柱に据えています。
シーズの社名の由来は「見る」の複数形です、「未来を見て世の中のトレンドを見て未来に起こりうる正確なビジョンを見る」、ブロックチェーンから始まったシーズの技術はAIと融合し次の時代の基盤へと進化を続けているのです。

ブロックチェーン導入による利益

ブロックチェーンを活用したシステムには従来のシステムにはない優れたメリットが多数あります、順番に説明いたします。

一つ目は止まらないシステムを手に入れられることです。
特定のサーバーやクラウド事業者に依存した従来のシステムでは一か所に障害が起きるとシステム全体が止まってしまいます。
ブロックチェーンはデータと処理を複数のノードに分散させているため一部に障害が起きてもシステム全体は止まりません、データや機能が失われることなく存続できるという強い耐障害性は経営の観点からも大きな価値を持ちます。
しかもこの分散処理は既存のシステムを大きく作り替えることなくブロックチェーンを導入するだけで実現できるのです。

二つ目は信頼を担保するためのコストを大幅に削減できることです。
従来のシステムでは記録が後から書き換えられていないことを証明するためにバックアップやログの管理を行う必要がありました、対してブロックチェーンは改ざんが事実上不可能な構造を最初から仕組みとして持っているため自社が信頼できることを証明するための説明や監査のコストを大きく抑えることができます。

三つ目は現場の手続きを自動化し人の手による遅れやミスをなくせることです。
スマートコントラクトとはあらかじめ決めた条件が満たされた時点でプログラムが決められた処理を確実に実行する仕組みです。
例えば製造装置のセンサーが部品の摩耗を示す値を記録すれば交換部品の手配と保守の予定登録までが自動で行われます、検査工程の合格が記録されれば次の工程や出荷の手続きへと自動で進みます。
冷凍や冷蔵の輸送で温度が基準を外れればその事実が記録され関係する企業に即座に知らされます、人が確認して書類を回して承認するという手間がなくなり見落としや手続きの遅れを仕組みとして取り除くことができます。

四つ目は複数の企業でデータを安全に共有できることです。
サプライチェーンのように複数の企業が関わる業務ではどの会社のサーバーにデータを置くのかという問題が常につきまといます、ブロックチェーンはどの社のものでもない中立な基盤として参加する企業が同じデータを共有し誰も勝手に書き換えられない状態で活用することができます。

五つ目は改ざんされていないことを証明でき企業の信頼とブランド価値が高まることです。
従来のデータベースでは管理する権限さえあれば後から記録を書き換えることができてしまいます、対してブロックチェーンに記録された情報は後から改ざんされていないことを誰もが客観的に確かめることができます。
例えば食品であれば生産者から工場、そして店頭に並ぶまでの記録を消費者自身が確かめられるようになります、これによって産地の偽装や品質データの改ざんが入り込む余地が無くなります、したがって真面目に良いものだけを作る企業ほど正しく評価されるようになります。

これらの利点は既に多くの企業や機関で活かされています。
設計図面や実験データの存在証明、食品の流通経路の追跡、そして大学の学位証明書や電子契約の真正性の証明等、今では多くの世界的に著名な企業や機関がブロックチェーンを活用しています。

ブロックチェーンは何故セキュリティに強いのか

ブロックチェーンのセキュリティの強さを何より物語っているのはこれまで一度たりとも止まったことがなく、しかも一度もハッキングされていないという事実そのものです。

2009年1月に運用が始まったビットコインのブロックチェーンは世界中の誰もが参加でき誰もが攻撃を試みることができるインターネット上において、何と20年近くに渡り一度も停止することなく更には攻撃も受け付けずに稼働し続けてきました、2015年に始まったイーサリアムも同様に世界中で膨大な取引を処理しながら動き続けています。

世界中の優秀なハッカーが莫大な富を狙い続けているにも関わらずブロックチェーンそのものが乗っ取られたり停止したりしたことは過去一度もないのです。

ニュースになる暗号資産の流出事件はブロックチェーンが破られたのではありません、秘密鍵の盗難やウォレットの不具合そして取引所のサーバーや利用者の端末への侵入といったブロックチェーンネットワークと切り離された周辺部分が狙われたものです。

それでは何故ブロックチェーンは一度たりとも止まらずに破られないのでしょうか。
その理由は分散処理と記録を鎖のようにつなぐデータ構造、そして参加者による合意形成という三つの仕組みにあります。

まず分散処理から説明していきましょう。
従来のシステムは一つのサーバーでデータを管理しているため攻撃を受ければシステム全体が止まってしまいます、対してブロックチェーンは複数のノードがそれぞれ同じ台帳を持ち同じ処理を行っています。
どこかのノードが攻撃を受けて止まっても他のノードが処理を続けるためシステム全体が止まることはありません、仮にどこかのノードが乗っ取られて不正なデータを作ったとしてもそのデータを受け取った他のノードが厳しく検証し不正と判明した時点で破棄します、これが一度も止まらず一度も破られていない最大の理由なのです。

図2.ブロックチェーン
図2.ブロックチェーン

次に記録を鎖のようにつなぐデータ構造です。
ここで使われるのが暗号学的ハッシュ関数という暗号技術です、これはどんな大きさのデータでも決まった計算式に通すことで決まった長さの値に変換する仕組みであり、その値をハッシュ値と呼びます。
同じデータからは必ず同じハッシュ値が得られます、しかし元のデータが1文字でも違えばハッシュ値は全く異なるものになります、更にハッシュ値から元のデータを割り出すことも同じハッシュ値になる別のデータを作り出すことも事実上できません。

ブロックチェーンでは記録を一定の量ごとにブロックという単位にまとめます。
そして新しいブロックには一つ前のブロックのハッシュ値が書き込まれます。
書類の割印のように前後のブロックが互いの中身を証明し合いながら鎖のように一列に繋がっていくのです、ブロックチェーンという名前はこのブロックの鎖から来ているのです。
もし途中のブロックを一つでも書き換えればそのブロックのハッシュ値が変わり次のブロックに書き込まれた値と合わなくなります。
辻褄を合わせるには後に続くすべてのブロックを作り直さなければならず更に他のノードが持つ同じ鎖とも見比べられるため改ざんは即座に発覚するのです。

図3.ブロックのハッシュ値
図3.ブロックのハッシュ値

そして最後に参加者による合意形成です。
新しい記録を台帳に加えるには参加者のあいだで合意を得る必要がありこれをコンセンサスアルゴリズムと呼びます。
パブリック型のブロックチェーンで不正を成功させるには参加者の過半数を同時に乗っ取らなければならず更にハッシュや電子署名といった暗号技術そのものが数学的な壁となって立ちはだかります。

「シーズブロックチェーン」はこの仕組みを産業用途に最適化しています、不特定多数に全データを公開するパブリック型のままでは企業の機密情報を守ることはできません。
そこでシーズは厳格に承認された検証ノードだけがブロックを生成するPoA(Proof of Authority)というコンセンサスアルゴリズムを採用したプライベート型ブロックチェーンを基本モデルとしました。
信頼できるノードだけでネットワークを構築することで外部からの不正侵入を防ぎマイニングという莫大な計算処理を省いて極めて高速な分散処理を実現しています。

更にシーズはブロックチェーンに記録される前の段階にも目を向けました。
どれほどブロックチェーンの内部が堅牢であってもセンサーからブロックチェーンに届くまでの伝送路でデータが書き換えられていればその記録は正しいとは言えません。
シーズの特許技術「ハッシュチェーン」はこのブロックチェーンの技術をデータ伝送に応用したのです。
伝送するデータを一定の大きさのセグメントに分け一つ前のセグメントのハッシュ値と端末だけが知っている固有の情報を組み合わせて鎖のように繋ぐことで通信の途中での改ざんや欠落、そしてなりすましをリアルタイムに検出します。
データが生まれた瞬間から記録されるまでを一気通貫で保証することこそがシーズの考えるセキュリティなのです。

図4.ハッシュチェーン
図4.ハッシュチェーン

ブロックチェーンは何故日本で普及しないのか

ここまでご紹介してきたようにブロックチェーンは一度も止まったことのない優れた分散処理と改ざん不可能な高い安全性を兼ね備えています。
それにも関わらず日本ではブロックチェーンの本格的な普及がなかなか進みません、その疑問に答える前にまずは世界の動きを見てみましょう。

欧州ではEUが暗号資産を包括的に規制するMiCAを2024年12月に全面的に適用しルールを明確にしたうえで事業者が安心して参入できる環境を整えました。
その一方でEUは自らブロックチェーンの基盤であるEBSIを運営し学位や行政の証明書が本物であることをどの国においても確認できる仕組みを進めています。
更に製造から再利用までの履歴を記録するデジタル製品パスポートが2027年から義務付けられ製品の履歴を改ざんできない形で残す技術の一つとしてブロックチェーンが採用されています。

米国では2024年1月にビットコインの現物ETFが承認され2025年7月にはステーブルコインに関する法案が成立しました、これと並行して大手の金融機関は国債やファンドといった現実の資産をブロックチェーン上で扱う取り組みを進めています。
大手の小売企業は早くから食品の産地を追跡する仕組みにブロックチェーンを取り入れています。

中国は2021年に暗号資産の取引とマイニングを全面的に禁止しました。
その一方で2019年にはブロックチェーンを国の重点技術に位置付け2020年からは国が主導する基盤ネットワークBSNの整備を進めています。
暗号資産とブロックチェーン技術を明確に切り分け社会の基盤技術として積極的に推進しているのです。

香港は2023年に暗号資産交換業の免許制度を始め2025年にはステーブルコインの条例を施行しました。

ドバイは2016年に政府の文書をブロックチェーンへ移す戦略を掲げ2022年には暗号資産の専門の規制当局を設けて関連企業の誘致を進めています。

これらの国や地域に共通しているのは暗号資産のルールを整えることとブロックチェーンを社会や産業のインフラ基盤として使うことを別々の課題として同時に進めている点です。

表1.日本と世界の主な動き

国・地域暗号資産・金融のルール産業・行政での活用
欧州(EU)2024年12月 暗号資産を包括的に規制するMiCAを全面適用自らブロックチェーン基盤EBSIを運営し学位や行政の証明書を検証
2027年から電池のデジタル製品パスポートを義務化
米国2024年1月 ビットコイン現物ETFを承認
2025年7月 ステーブルコイン法が成立
大手金融機関が国債やファンドをブロックチェーン上で扱う取り組みを拡大
大手小売が食品の産地追跡に活用
中国2021年 暗号資産の取引とマイニングを全面禁止2019年 ブロックチェーンを国の重点技術に位置付ける
2020年から国主導の基盤ネットワークBSNを整備
香港・ドバイ香港:2023年 交換業の免許制度施行、2025年 ステーブルコイン条例を施行
ドバイ:2022年 専門の規制当局を設置
ドバイ:2016年 政府の文書をブロックチェーンへ移す戦略を策定
関連企業の誘致を推進
日本2017年 世界に先駆けて暗号資産交換業を登録制にする
2023年 ステーブルコインの制度を施行
2025年 円建てステーブルコインの発行が始まる
実証実験が中心で産業の基盤としての本格的な活用は限られる

ちなみに日本は2017年に世界に先駆けて暗号資産交換業の登録制度を設けた国です。
ステーブルコインの制度も2023年に施行しており米国よりも早くルールを整えました。
つまり日本は暗号資産のルールづくりでは決して世界に遅れていないのです。

大きく遅れているのは産業や行政の基盤としてブロックチェーンを活用する取り組みのほうなのです、日本ではブロックチェーンの議論がほぼ暗号資産のルールの話に留まり社会や産業の基盤として使う発想が何故か広がらなかったのです。

確かに仮想通貨詐欺事件はありました、日本では2014年に大手の暗号資産取引所が破綻し2018年には巨額の暗号資産が流出する事件が起きました。
更に価値のない暗号資産を高値で売りつけるICO詐欺や高利回りをうたって資金を集める投資詐欺も後を絶ちませんでした。
こうした事件や詐欺が大きく報道されたことでブロックチェーンは投機的で危ないものという印象が定着してしまったのではないかと思います。
しかし先にお話ししたようにこれらの事件はブロックチェーンそのものが破られたのではなく暗号資産という一つの側面の周辺で起きた問題です。
その違いが正しく伝わらないまま悪い印象だけが広まってしまったと思うのです。

加えて罰則の重い法規制に意図せず触れてしまうことへの不安もあるでしょう。
ブロックチェーンはトークンや価値の移転と結び付きやすいため作り方次第では資金決済法や金融商品取引法をはじめ刑法の賭博罪や景品表示法そして個人情報保護法等に抵触するおそれがあります。
暗号資産の規制は年々厳しさを増しており現在は暗号資産を更に規制の厳しい金融商品取引法の対象に移す方向で制度の見直しが進められています。
ブロックチェーン=暗号資産という印象が強いが故に暗号資産とは関係のない産業用途ブロックチェーンであっても法律に触れるのではないかという不安から導入をためらう企業が少なくないと思うのです。

しかし日本でブロックチェーンが普及しない最大の理由は別のところにあるとシーズは考えています。
それはブロックチェーンの本当の価値が分散処理にあることがほとんど知られていないというところです、そしてその価値を正しく評価できる人材が他の国に比べて極めて少ないのです、これはシーズが大手数百社という企業と10年に渡り接触して得られた経験に基づく事実なのです。
日本ではブロックチェーンという言葉はほぼ例外なく暗号資産と結び付けて語られてきました、そのため多くの企業にとってブロックチェーンは金融やフィンテックの世界の話であり自社の工場や物流そして日々の業務とは関係のない技術だと受け止められてきたのです。

ここではっきり申し上げます、ブロックチェーンの本質は暗号資産ではありません。
ブロックチェーンは誰もが簡単に分散処理を実現できる高性能なシステムなのです。
本来分散処理のシステムを一から構築するには高度な専門知識と莫大な開発費用そして多くの時間が不可欠です。
しかしブロックチェーンを導入すれば一つのノードが止まってもシステム全体は止まらずデータも決して失われないという分散処理の仕組みを丸ごと手に入れることができるのです。
生産設備の稼働データや製品の品質検査記録そして取引先との受発注データと消えてはならないデータを扱う産業の現場こそブロックチェーンが最も力を発揮する場所なのです。

そして日本で普及しないもう一つの理由が構造の分かりにくさと技術者不足です。
何故止まらないのか、何故改ざんできないのかを社内で分かりやすく説明し決裁を得ることは容易ではありません。

説明する方も受ける方もこれまでにない構造を容易にイメージできないからに他なりません、日本人の多くは自分に理解できないものは懐疑的に見るのです、他国の人は自分に理解できないものは今までにない高度なものであり魅力的に映るのです、ここに国による大きな違いを感じています。

更にはスマートコントラクトを書ける技術者やセキュリティを監査できる体制を社内に持つ企業もまだ一握りです、その結果効果を実感できないまま実証実験だけで終わってしまうケースも事実少なくありませんでした。

導入しても自社内でメンテナンスができないというのは脅威に感じます、リモートメンテナンスで現場には専門技術者は不要でありメンテナンス端末からはデータは一切見ることはできないと説明しても信用されないのです。
こうして前例や他社の導入実績を求める慎重な企業文化も相まってどこかの大手企業が先に導入するのを待つうちに世界との格差はどんどん広がっていってしまったというのが日本の実情ではないでしょうか。

ただし近年日本でもブロックチェーンへの関心は確実に高まっています。
2025年以降は日本円と連動するステーブルコインの発行も始まり法律の整備とともに安全にブロックチェーンを活用したいという企業は増えています。

ものづくりの品質やサプライチェーンの信頼そして止まらない社会インフラを強みとしてきたのが日本の産業です、そうした日本の産業こそブロックチェーンの分散処理が最も力を発揮できる分野なのです。
足りないのは技術者でもルールでもなくブロックチェーンの本当の価値が分散処理にあることを完璧に理解する人材と技術が解らなくても手軽に導入できる仕組みそのものが必須なのだとシーズは考えています。

ブロックチェーンの普及に向けたシーズの取り組み

シーズはブロックチェーンを産業の現場で誰もが簡単に使えるものにするために実用上の障壁となる課題を一つ一つ発想力と技術力によって解決してきました。

最初に直面した課題は一つのブロックチェーンを複数のアプリケーションで安全に運用する仕組みが存在していないことでした。
従来のブロックチェーンは一つの用途のために個別に運用されるのが常識でありコストを抑えるために複数のアプリケーションで共有しようとすればアプリケーション同士のデータが互いに見えてしまうという致命的なリスクがありました。
シーズは独自開発のミドルウェアとAPIによって複数の異なるアプリケーションが一つのブロックチェーン基盤を安全に共有できる「マルチDAppsプラットフォーム」を創出しました。

アクセス制限によって他のアプリケーションからの閲覧や介入を完全に遮断しながらインフラのコストを最小限に抑えられるため複数の企業で一つの基盤を共有し中小企業でも大きな負担なく導入できるようになりました。

図5.マルチDAppsプラットフォーム
図5.マルチDAppsプラットフォーム

次の課題は動画や画像そして膨大なセンサーログといった大容量のデータの取り扱いとそれに伴う情報漏洩のリスクでした。
既存のブロックチェーンは軽量なデータを記録するために設計されており大容量のデータを直接記録することはほぼ不可能とされてきました。
シーズは実データを高度に暗号化したうえで細かく分割しネットワーク上に分散保存し、そのハッシュ値だけをブロックチェーンに記録して改ざんを検知する「暗号化・分割・分散ファイルシステム」を独自に創出しました。
仮に一つのノードのデータが盗まれたとしても中身を読み解くことはできず大容量のデータであっても安全且つ低コストに保管できるようになったのです。

図6.暗号化・分割・分散ファイルシステム
図6.暗号化・分割・分散ファイルシステム

そして実証試験の中で汎用のサーバーOSに含まれる不要な機能がブロックチェーンの処理を妨げ、小さな機器ではOSそのものが重すぎて動かないという問題にも直面しました。
シーズはブロックチェーンの実行に必要な機能だけを極限まで削ぎ落とした「シーズブロックチェーン専用Linux」を独自開発し「フルノード型」・「ライトノード型」・「エンベデッド型(組み込み型)」という三つの最適化タイプの専用Linuxを創出しました。
これにより市販のボードやIoT機器の内部であっても高速且つ安定してブロックチェーンを動かせるようになり製品のコストと運用の負担を大幅に減らすことに成功しました。

技術者の参入障壁も大きな課題でした。
従来のブロックチェーンアプリケーションの開発にはブロックチェーン固有の開発言語や複雑な暗号の知識が必要でありWebシステムに精通したエンジニアであっても簡単には手を出せませんでした。
シーズは使い慣れたREST構成の開発用APIと各種開発キットを包括した「シーズブロックチェーン開発API/SDK」を創出し特別なブロックチェーン技術を持たない一般的なWebエンジニアでも直感的に分散型アプリケーションを構築できるようにしました。

またブロックチェーン学習ツール「箱庭システム」を開発しエンジニア向けの講座やセミナーを自ら開催することで次世代の技術者の育成にも取り組んでまいりました。

開発のコストと期間も導入を阻む壁でした、一般的なブロックチェーン開発では企業や用途ごとにスマートコントラクトを一から作る必要があり莫大な費用と長い準備期間が掛かっていました。
シーズはトレーサビリティ管理や各種の品質保証記録そしてプロジェクト管理等産業界で頻繁に求められるユースケースを分析し既成のコントラクトとしてパッケージ化した「シーズ建売ブロックチェーン」を用意しました。
導入企業はユーザーインターフェースを自社の業務に合わせてカスタマイズするだけで直ぐに運用を開始でき一から構築する場合と比べて開発コストを30%以下に抑えることができます。
家を建てるときに一から設計するのではなく完成した建売住宅を選ぶように必要なブロックチェーンを選んで直ぐに使い始めることができるのです。

更にシーズはブロックチェーンをサーバーの中から現場の機器へと解き放ちました。
小型のハードウェア端末の内部にノードを直接実装した「ブロックチェーンゲートウェイ」はオフィスや工場のローカルLANにつなぐだけでインターネットを一切介することなくブロックチェーンへ安全にデータを記録できる製品であり既に化学系商社においてサプライチェーンのデータ共有基盤として導入されています。
出張先や屋外の作業現場のようにローカルLANが使えない場面に向けてはPCにUSBドングルを挿すだけでその場でノードとして機能する「ブロックチェーントランスフォーマー」を創出しました。
これらを組み合わせた「シーズブロックチェーンセキュリティシステム」は情報漏洩防止・改ざん防止・安定稼働・ユーザー認証という四つのセキュリティ要件をすべて満たしITセキュリティの担当者がいない企業でもサプライチェーンのデータ共有やリモートワークの安全を確保できるようにしています。

図7.シーズブロックチェーンセキュリティシステム
図7.シーズブロックチェーンセキュリティシステム

そして超小型のハードウェアチップにノードの機能を実装した「ブロックチェーンチップ」によってセンサーや監視カメラそして製造装置そのものがブロックチェーンのノードへと進化を遂げました。

ブロックチェーンが社会の最末端へと浸透していく中で最後に行き着いたのがノードに届く前の伝送路の脆弱性でした。
シーズは基盤となるレイヤー1(メインチェーン)と処理能力を高めるレイヤー2(サイドチェーン)に加え通信の最小単位でハッシュ値を鎖状に繋ぎ合わせるレイヤー3(「ハッシュチェーン」)を構築し世界唯一の3層構造を確立しました。
更に「ハッシュチェーン」を記録装置に応用した「スクランブルメモリ」はデータを暗号化して断片化し本物と見分けのつかないダミーデータを混ぜて保存したうえで復元に必要な情報をチップのセキュア領域に分離して保管します。
たとえ記憶媒体を抜き取られて直接読み出されたとしても誰にもデータを復元することはできません。

「難しい技術をそのまま届けるのではなく簡単に使える形にしてお届けすること」、これがシーズのブロックチェーン普及に向けた一環とした取り組み姿勢なのです。

シーズが創る近未来におけるブロックチェーンの世界感

シーズは近未来に必須となる技術について特許を出願したうえで製品化してまいりました、そしてこれらの技術が組み合わされて用いられる時が必ずや訪れると考えています。
シーズが創る近未来のブロックチェーン活用シーンを簡単にご紹介致します。

継続更新可能なNFTを創出

NFTはデジタルデータに唯一無二の証明を与える技術として広く知られるようになりました、しかし従来のNFTはある時点のコンテンツや所有権を1回限りで固定する静的な証明に留まっています。
発行した後に内容を書き換えることは構造上できず更新したい場合は全く新しいNFTを発行し直すしかありませんでした。

シーズの特許技術「コンテナブルNFT」は一つのNFTを保ったまま内部のデータや変更の履歴を改ざんできない形で安全に更新し続けることができる技術です。
最新の状態とこれまでのすべての履歴をたった一つのNFTで完璧に証明できるのです。
その土台となっているのは暗号資産による決済とNFTの権利移転を途中で改ざんされることのない一つの取引の中で完結させる「シーズブロックチェーン」独自の安全なNFTウォレット処理です。

例えば工場の製造装置に一つの「コンテナブルNFT」を割り当てたとします、製造された日から始まり日々の稼働記録や点検の結果そして部品の交換や修理の履歴がすべて同じNFTの中に積み重ねられていきます。
装置が別の工場に売却されてもNFTと一緒にすべての履歴が引き継がれ買い手はその装置の来歴を一目で確かめることができます。
製造履歴や整備記録のように日々更新されていくデータこそ「コンテナブルNFT」が最も力を発揮する分野です。

「コンテナブルNFT」は人の知恵を守り活かすことにも応用されています、シーズの「AI指南」は専門家や企業が持つ独自のノウハウを生成AIに学ばせその人に代わって価値を提供するAIを作るサービスです。

例えばある町工場に金属加工の道四十年という熟練の職人がいるとします、職人の判断の基準や長年のコツを学んだAIは遠く離れた工場の若い技術者からの相談にも昼夜を問わず答えてくれます、まさにあなたに代わりあなたのクローンが24時間働くのです。
これまでノウハウをデジタル化して販売しようとしても複製や流出が怖く一度販売した教材は更新もできませんでした。
「コンテナブルNFT」によってノウハウの権利を守りながら内容を常に最新の状態に更新し続けることができるのです。
職人が引退した後もその知恵は失われることなく働き続け次の世代を支え続けます。
後継者不足に悩む日本のものづくりにとってこれは技術の継承と新たな収益を同時に生み出す仕組みとなります。

図8.AI指南プラットフォーム
図8.AI指南プラットフォーム

AIとの共存を目指して

AIは今や文章を書き画像を作り様々な判断を担うまでになりました、更にAIが身体を持って現実の世界で動くフィジカルAIの時代が始まっています。
業務の自動化から重要なインフラの運用までAIに任せる範囲が広がるほど避けて通れないのがAIの暴走という問題です。
実際に作業の権限を与えられたAIが目的を達成しようとして権限を越えてデータを削除してしまう事例も報告されています。

AIの暴走には共通する原因があります。
一つはAIが自身の誤りに気付けないことです、人間が自身の誤りに気付けないのと同じです、判断も検証も同じAIに任せているともっともらしい誤りや偏りを客観的に見つけることができません。
もう一つは誤った入力やフィードバックによってAIが自ら学び直すうちに少しずつ悪い方向へ変わっていくことです。
一度誤りを取り込んだAIは学習のたびにその誤りを広げていきやがて人の手に負えなくなります。

ここで解決の糸口となるのが分散処理と合意形成というブロックチェーンそのものの考え方です、ブロックチェーンは1台のノードの判断だけで台帳を書き換えることはできずノード間の合意で承認された記録だけが残ります。
AIもまた一つのAIにすべてを委ねるのではなく複数で確認し合い合意したものだけを反映する仕組みにしなければならないと考えています、そしてこれを基に既に特許出願を済ませています。

この仕組みでAIを構築すればAIが勝手に自分を書き換えることも一つの誤りが全体に広がることもなくなります、そしてその合意を正しく働かせるためにはAIが受け取るデータそのものが正しくなければなりません。

学習データに異常な値を紛れ込ませるポイズニングによってAIは誤った判断を下すようになります。
例えば工場の製造ラインで製品の傷を見つける検査AIを考えてみましょう。
もし悪意を持った者が学習用の画像にわずかな細工をすれば検査AIは特定の傷を見逃すように学習してしまいます。
その結果不良品が市場に出回りリコールや事故につながるおそれがあります、しかも人の目では細工に気付くことはほとんどできません。
「ハッシュチェーン」でカメラが撮影した瞬間から画像を保証しておけば学習に使われるデータが一枚たりとも書き換えられていないことを確かめられます。
万が一AIが誤った判断をしたとしても何を学んだ結果なのかをさかのぼって検証することができるのです。

シーズはAIそのものの在り方についても一つの未来を描いています。
それは巨大な一つのコンピュータで集約的なAIを構築するのではなく小さなセルコンピュータがそれぞれ自律的に五感を通して学習し自発的に行動する時代の到来です。
シーズの特許技術「自律分散AIセル」は生まれたばかりの子供が視覚や触覚を通して自ら学んでいく過程そのものをロジック化した「子供のAI」です。
自分がどこで何をするべきかを自覚し自分のクセを知り危険が迫ればその場で身を守る。
周りと比べて自分の位置付けを知り自分の状態を言葉で伝え上からの全体の視点で判断の偏りを正し常に最新の状態へと学び直す。
「自律分散AIセル」にはこうした子供が育つ過程を表す七つのロジックが組み込まれています。
言葉で意思を伝えられるため大規模言語モデルとも直接つながることができます。

それぞれのセルコンピュータは脳細胞や神経細胞一つに例えることができます、数が増えれば増えるほど知能と処理能力が上がっていきます。
世界中に配置されたセルコンピュータが学習した情報を共有し補い合えば一つの巨大なコンピュータをはるかに凌ぎ世界中を鳥の目と虫の目で見渡せ細部のフィジカル部位も備えたスーパーAIが誕生します。
これはまさにブロックチェーンの分散処理の考え方をAIに応用したものです。
そしてセルコンピュータ同士が共有する情報やノウハウは「ハッシュチェーン」と「スクランブルメモリ」によって伝送から保存まで一気通貫で守られています。
1台が獲得した危険の情報や回避の方法を改ざんの心配なく全体で共有できるからこそ安全で持続的な集団教育が成り立つのです。

AIが生み出す情報そのものの信頼もこれからの大きな課題です。
AIが作った文章や画像そして音声は本物と見分けがつかないほど精巧になりました、このコンテンツは誰がいつ作ったものなのか、人が作ったものなのかAIが作ったものなのか、これらをブロックチェーンに記録しておけば偽の情報に惑わされることなく本物を本物として確かめられる社会を実現できます。

人がAIを信頼して任せられること、そしてAIと人が互いに支え合い共存できること。
その土台となるのがブロックチェーンなのだとシーズは考えているのです。

工場や物流倉庫そして介護や医療の現場でロボットが人と並んで働く姿は珍しいものではなくなりつつあります、現在ロボットのAIは仮想空間のシミュレーションで高速に学習させてから現実の現場へ移す手法が主流です。
しかし仮想空間でどれほどシミュレーションを重ねても現実の現場との間には埋めきれない差があります。
長く使ううちに生まれる摩耗や個体差そして現場ごとの予測できないノイズまでは仮想空間で再現しきれません。
複数のロボットの学習成果を持ち寄る連合学習も研究されています、しかし従来の連合学習はデータを中央で平均化するため1台ごとの個体差を消してしまうという課題があります、更にすべてのセンサーデータをクラウドに送って判断する仕組みではセンサーが増えるほど通信の遅れや処理の負荷が大きくなります。

「自律分散AIセル」を組み込んだロボットは自分がどこに設置され何をすべきかを自ら把握し自分の機械としてのクセを自ら学び取ります。
危険を察知した瞬間には上位のAIからの指示を待たずにその場で緊急停止等の安全制御を行います。
そして1台が現場で学んだ経験は他のロボットにも共有されますが全体の平均に均されることなく1台1台の個性を保ったまま全体が賢くなっていきます。
1台ごとの違いと全体で共有すべき情報を分けて扱うことで個性を保ったまま全体を進化させるのです。

例えば工場の製造ラインでは同じ型の装置であっても1台ごとに微妙な個体差があります、ラインに並ぶ装置はそれぞれセンサーを通じて自らの動きを学び自分の個性を確立します、各装置の動作データは上位のエッジサーバーに集められ全体の装置が均一な品質で動けるように1台ごとの制御の値が自動で調整されます。
そして1台1台の個性を保ったまま経験全体を再教育することで品質のばらつきを防ぎ高い精度で稼働し続ける製造ラインが生まれます。

予知保全にも同じ仕組みが活かされます、ロボットアームごとに作業の内容や摩耗の具合は異なります、「自律分散AIセル」はそれぞれのロボットアームに最適な異常検知のモデルを作り高い精度で故障の予兆を捉えます。

究極のデータセキュリティ方式を創出

AIのフィジカル分野への普及によって重要になるのが現場で生まれた学習データの守り方です、学習データを「スクランブルメモリ」とブロックチェーンの二重で守ったうえで共有すればポイズニングや乗っ取りの心配なく最新のモデルだけを安全に全体へ行き渡らせることができます。

ドローンの分野ではこの仕組みが更に力を発揮します、親機の管制のもとで複数の子機が互いに協調しながら自律的に飛行します。
1機が見つけた危険や最適なルートは「ハッシュチェーン」と「スクランブルメモリ」で守られた経路を通じて即座に全体へ共有されます。
通信が遅れたり途切れたりした場合でも各機が自らの位置を把握して単独で安全に回避行動を取ることができます、運用する機体が増えるほど群れ全体が賢くなりながらポイズニングは確実に排除されるのです。

人の身体に直接触れる介護や医療のロボットにとって指令や学習データの正しさは安全そのものです、「ハッシュチェーン」は端末だけが知っている固有の情報で送り主を確かめるため外部から偽の指令が送り込まれてもロボットが乗っ取られることはありません。
ロボット1台1台の身元と行動そして経験を保証するブロックチェーンは人とロボットが同じ空間で安心して暮らし働くための必須の技術となるでしょう。

ネットワークにつながる自動車はもはや走る情報端末です、走行データやソフトウェアの更新そして他の車両や信号機との通信等膨大なデータを絶えずやり取りしています。
もしこれらのデータが改ざんされれば事故や盗難そして乗っ取りにつながりかねません。
しかもすべてのデータをクラウドに送って判断する仕組みでは車両が増えるほど通信の遅れや処理の負荷が大きくなり一瞬の判断が求められる走行の安全を守りきれません。

「ブロックチェーンチップ」を車両に組み込めば車両そのものが分散処理のノードとなります、ソフトウェアの更新が正規のものであることを車両自らが確かめられるようになり「ハッシュチェーン」によって車載のセンサーから届くデータが途中で書き換えられていないことも保証されます。

例えば交差点で2台の自動運転車が接触する事故が起きたとします、これまでは当事者の証言やドライブレコーダーの映像を頼りに過失の割合を判断してきました。
しかし記録が後から編集されていないことを証明するのは簡単ではありません。
車両の「ブロックチェーンチップ」が速度やブレーキの操作そしてセンサーが捉えた周囲の状況を刻々と記録していれば事故の直前に何が起きていたのかを誰もが疑いようのない形で確かめられます、保険会社や警察そして自動車メーカーが同じ記録を共有し公正で迅速な解決が可能になるのです。

中古車の取引においても大きな変化が生まれます、走行距離のメーターが巻き戻されていないか、事故の修理歴を隠していないか、これまで買い手が抱えてきた不安は「コンテナブルNFT」に積み重ねられた車両の来歴によって解消されます。
正しい履歴を持つ車両は正しく評価され安心して次の持ち主へと引き継がれていきます。

更に電気自動車が普及すれば車両は走る蓄電池として電力網ともつながるようになります、車両に蓄えた電力を家庭や地域に融通しその対価を自動で受け取るといった取引も車両同士や車両と設備のあいだで人を介さずに行われるようになるでしょう。
その一つ一つの取引が正しく行われたことを保証するのもブロックチェーンの役割です。
そして街中を走る無数の車両がそれぞれのセンサーで捉えた情報を安全に共有し合えば渋滞や事故の予兆を街全体で捉え多くの人命を守ることができます。

自動運転が当たり前になる時代の安全と信頼をシーズのブロックチェーンが支えます。

エピローグ

ブロックチェーンが日本で普及しない最大の理由は、技術そのものではなく本当の価値が分散処理にあることを理解されないがために正しく評価されてこなかったことにありました。
ブロックチェーンは仮想通貨のための技術ではなく誰もが簡単に分散処理を実現できる産業基盤技術です、シーズは2014年頃の研究開始以来、改ざん不可能と分散処理という二つの価値を軸に産業用途に特化したブロックチェーンを独自に進化させてまいりました。

かつてLinuxが静かに社会の深部へと浸透していったようにブロックチェーンもまた誰もが意識することなく使われる信頼のインフラになるのです。
人と機械とAIがつながる近未来においてすべてのデータを守り続けることがシーズの使命です。
使命を全うするため知財と技術力で次代を一歩先に歩み続けます。


2026年11月作成

株式会社シーズ
代表取締役会長 伊東久雄

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